皆さまこんにちは。前回は問題解決にあたって“一次調査(独自調査)”をする際の分析手法の1つとして“カスタマージャーニーマッピング”について書きました。今回はまた別の分析手法である“狩野モデル”について、書いていきたいと思います。
1. “狩野モデル”とは?
狩野モデルとは、東京理科大学名誉教授の狩野教授が1980年代に開発した顧客満足度と品質の関係を表すモデルです。だから“狩野”モデルなのですね。日本人が開発したにも関わらず(コンサル会社をはじめ)日本の問題解決者の間では今一つマイナーな感じです。むしろ海外での方が活用されているかもしれません(海外でも”KANO Model”と呼ばれています。発音は”ケイノーモデル”になっちゃいますが(笑))。ただ、恐らくこんなイメージ図を見たことだけはある方は結構いるのではないかと思います。
この例では“Power Steering”とか“Auto-start”等と自動車の“機能”がマッピングされています。このように“品質”レベルだけではなく、“機能”であったり、“製品”や“サービス”も対象にできる柔軟さがこのモデルの良いところでもあると思います。
この例のように、品質(機能、製品、サービス、等)を、”Exceptional performance (充足)”-“Poor performance(不充足)“と”Customer satisfied(顧客満足)“-”Customer dissatisfied(顧客不満足)“の2軸のマトリックスにマッピングし、セグメンテーションします。そしてセグメント結果に基づいて、その品質(機能、製品、サービス、等)の『開発ないし改善の優先順位付け』をするのがこのモデルの最終目的です。
2. “狩野モデル”の使い方、見方
モデルにマッピングをするにあたっては、顧客調査を行い、1) その品質(機能、製品、サービス、等)があったらどう思うか?、2) 逆になかったらどう思うか?を聞いていきます。具体的なアンケートの進め方はたくさんネットに出ていますので、1つだけリンクを貼らせていただきます(ライモック様記事)。
アンケート結果に基づいて、マッピングをしていきますが、狩野モデルのセグメンテーションの特徴は既にセグメントが決まっているところです。各セグメントにマッピングします。どんなセグメントがあるかというと、この5つです。
(青丸数字がセグメント)
① “当たり前品質“:無いと不満だが、有ってもさほど満足度は上がらない
② “魅力的品質“:無くても不満足ではない。有れば満足度は上がる
③ “一元的品質”:無いと不満。有れば有るだけ満足度は上がる
④ “無関心品質”:有っても無くても満足度には影響しない
⑤ “逆品質”:無い方が満足度が上がる(余分なもの。過剰品質、等)
で、優先順位付けの順番は、①⇒③⇒②⇒④の順番です(⑤をどう扱うかはケースbyケース)。
3. ディスカッションツールとしての“狩野モデル”
上記の通り、基本的には顧客調査(アンケート)結果に基づいてマッピングしていく“狩野モデル”ですが、私はディスカッションツールとしてもよく使っています。実はこれが、私が狩野モデルが”使える”と思っている一番の理由です。
2軸のマトリックスをホワイトボードに書いたり、もしくはオンラインでのワークショップであればパワポ(パワーポイントのこと)等のスライドを用意して、その上にポストイットで貼っていきます。下記はオンラインワークショップでの使用イメージです(オンラインワークショップについては、追って当ブログでも書きたいと思います→書きました!)。
顧客の声を取り込むために、ワークショップに顧客(直接顧客を呼ぶのが難しければ、営業等の社内で顧客の声をよく掴んでいる人)を入れてディスカッションを進めます。顧客調査の手間をかけずに、クイックに優先順位付けして進めたい場合にオススメです。
今回はこのくらいにさせていただき、また次回以降、続けていきたいと思います。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。