問題解決における“業務プロセス分析”のポイント

皆さまこんにちは。前回は“内部調査”で使われる手法の1つであり、その王道とも言える“社内インタビュー”について書きました。

今回も、その“内部調査”で使われる手法で、これも王道ですが“業務プロセス分析”について書いてみたいと思います。

業務プロセス分析は、問題解決者の皆さまはよくご存じだと思います。コンサル会社の方であれば、各社ともフォーマットやツールが準備されていると思いますし、そうでない方でもご自身の会社で業務プロセスのフォーマットが決まっていたりする場合があるのではないかと思います。なので今回は、問題解決で業務プロセス分析を行う場合のポイントだけ書いていきます。

1. “フォーマット(書式)”のポイント:時間は必ず入れること!

まずフォーマットですが、これについては“4つの要素”が含まれていることが大事です。

業務プロセスの”4つの要素”
図1: 業務プロセスの”4つの要素”

各要素について書いてきますね。

要素①:レベル感

先日の投稿で“SIPOC(サイポック)”について書きましたが、業務プロセスを書く時にはレベル感が大事です。これについては色々な定義が世の中にありますが、参考までに1つだけリンクを貼らせていただきます(ITコーディネーター協会様記事)。SIPOCはこの定義で言うと最上位レベルのプロセスと思います。

どのレベルで記載すべきかは、本当にケースバイケースですが、多くの場合、図1のように、2レベル(主に分析したいプロセスレベルと、それらを取りまとめる上位レベル)で書くとわかりやすいと思います。

要素②:“スイムレーン”

図1の”要素②”の縦軸になりますが、その業務プロセスの“登場人物(部門・部署)”を表します。競泳のプールを上から見たように見えるので、“スイムレーン”型のプロセスと言われたりもします。

“誰が”どの業務をやって、“誰に”渡しているのか、を明確にするのは大事です。このように業務の“引き渡し”が発生すると、大抵そこに“待ち時間”のムダが発生します(“ムダ”については、追って当ブログで書いてみたいと思います)。そこは要改善ポイントですよね。

要素③:時間(一番大事!)

業務にかかる時間はとても大事です。個人的には4要素の中で一番大事とも考えています。時間が長くかかっているプロセスは何らかの問題を内包している場合が多いものです。その取っ掛かりを掴むために、時間を明らかにしましょう。

時間には3種類あります。

a) オペレーティングタイム(OT):業務プロセス内の各業務(プロセスの箱)単位にかかっている時間

b) 待ち時間(WT):各業務間の時間

c) リードタイム(LT):OT + WT

書き方はわかれば何でもいいのですが、図1のように凸凹線がバリューストリームマッピング(リーンシックスシグマで使われる業務プロセス。これについても、追って当ブログで書いてみたいと思います->書きました!)でよく使われています(”リードタイムラダー”と呼ばれています)。凸凹の凸の部分がWT、凹の部分がOTとなります。一番右端に箱を書いて、OT合計とWT合計、あとそれらの総合計であるLTを書いておきます。

時間の測定の仕方は、大きく2種類あります。

1) ヒアリング:インタビューやワークショップ等で、当該業務に詳しいステークホルダーに”どれくらいかかっているか、ザックリ聞く”

2) シャドウイング:実際に当該業務が行われている現場に出向いて、ストップウォッチで計測する(最近はビデオ撮影をして、後で映像上で時間を測る、という手もあり)。

シャドウイングの方がもちろん精緻なのですが、手間もかかります(現場の方が嫌がる場合もある点も考慮すべき)。通常はヒアリングで進め、どうしても精緻化した方が良い部分があればシャドウイングすることをお勧めします。あと場合によっては、業務でシステムを使っていて、システム上でタイムスタンプを取れるというケースもあります。その場合は、システムのタイムスタンプを有効活用しましょう。

要素④:プロセス上の問題点

問題解決のための業務プロセス分析なので、業務プロセス上の問題点を洗い出して書いておくのも大事です。これも書き方は何でもいいのですが、図1のようにプロセス図の下に1列、問題点記載用の列を入れておくと見やすいと思います。

2. 業務プロセスの“作り方”のポイント:“ワークショップ形式”で効率良く!

皆さまは業務プロセスをどのように作っていますか?前回投稿した“社内インタビュー”で、社内の関係者にインタビューして、後でその内容をプロセス図にまとめる、という作り方をしている場合が多いのではないでしょうか?私もコンサル会社にいた頃は、そのようなやり方がメインだったと記憶しています。

もちろんそれでも構わないのですが、リーンシックスシグマ界隈では、先述の“バリューストリームマッピング”という手法を使って、関係者を集めたワークショップを開催してその場でプロセスを洗い出していく、というやり方が主流です。このやり方ですと、その場で“ああでもない、こうでもない”と言いながら、関係者に確認をしつつ進められるので、手戻りが少なく、効率的です。

ワークショップは、フェーストゥフェースの場合は、ホワイトボード等を下地にして、ポストイットを使って業務プロセスを貼っていきます。これなら並べ替えも楽ですよね。出来上がったら写真を撮って共有します。これだけでOKの場合もあれば、後で改めてスライドに起こす場合もあるかと思います(ステコミ等でお偉いさんにプレゼンする、等)。

ワークショップ(イメージ図)
ワークショップ(イメージ図) – 出所:クリエーションライン株式会社様

最近ですと、オンラインワークショップも多いと思いますが、オンラインの場合は、スライドを共有して、その上で作っていけるので、後で改めてスライドに起こす必要がなくなる、というメリットもあります。フェーストゥフェースの場合も、プロジェクタでスライドを投影しながら進める、という手もあります。個人的にはポストイットの方が臨場感があって好きなのですが、まぁ好みでよいと思います。

最後に、ワークショップでポストイットを使う際のTipsを。

Tips1: ポストイットのサイズは大きめで。縦75mm x 横127mmの大きめのものが見やすくていいです。“ポストイットを用意してください”とお願いすると、75mm x 75mm位のものが出てくる場合が結構多いのですが、それだと小さいので大きめにしましょう!

Tips2: 筆記具は太めのマーカーで。これも“書くものを用意してください”とお願いすると、細ペンとか、ボールペンで書いちゃう人が必ず出てくるのですが、それだとワークショップでは見えないので、必ず太めのマーカーを用意しましょう!

今回はこのくらいにさせていただき、また次回以降、続けていきたいと思います。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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