皆さまこんにちは。前回は問題解決にあたって“一次調査(独自調査)”をする際の分析手法の1つとして“実験計画法”について書きました。
前回までの数回に渡って、私が“使える”と考えている分析手法のポイントをご紹介してきましたが、“人は話し方が9割”ならぬ“分析は見せ方が9割!?”ということで、問題解決者の皆さまにとって、いかに分析結果をプレゼンテーションし、ステークホルダーに納得してもらうかがとても大事だと思います。今回はその“分析結果の見せ方”について、書いていきたいと思います。
1. グラフの選び方
分析結果の見せ方といえば、何はともあれグラフですよね。皆さまもよく使われていると思います。ただ自分の“見せたい内容”を考慮して正しくグラフを選んでいますでしょうか?ただ“何となく”縦棒グラフとか、円グラフとかにしていないですか?(笑)
私は個人的には、こんな感じに整理して、グラフを選ぶ際の拠り所にしています。
“割合”を見せたいのであれば円グラフが王道ですが、複数の割合の比較をしたい場合には縦棒グラフ(の百分率)がわかりやすいですね。“順位”は、“何となく”縦棒グラフが多そうですが、横棒グラフの方がベターです。人間は“横の流れ”を見ると時間軸を想定しがちで、順位の上から下は“縦の流れ”で表した方が自然です。その“時間軸”は縦棒グラフで大丈夫です。ただ時間軸が長い場合は折れ線グラフにした方が見やすいですね。
あと“バラつき”を見る場合は、散布図はご存じの方が多いと思いますが、“箱ひげ図”というのもあります。これはシックスシグマを学んだ方はよくご存じと思いますが、そうでない問題解決者界隈の方には、あまり知られていないかもしれません。また機会があれば、“箱ひげ図”についても、当ブログで書いてみたいと思います。
2. グラフは“細かい点”に配慮しましょう!
“見せたい内容”に応じて、適切なグラフを選んだら、次は実際に作成する訳ですが、ここはエクセル等の表計算ソフトで作る人が大半だと思います。その際に、エクセル上で対象データを選んでポンポンと出てきたグラフをそのまま使っていませんか?エクセルはとても便利でよく出来ていますが、あまり細かい点に配慮されていないので注意しましょう。以下、注意すべき点を幾つか挙げてみます。
①軸の最大値、最小値
エクセルは対象データに合わせて、グラフの軸の最大値と最小値を適当に調整して出力してくれます。これが複数のグラフを比較する際に、ミスリーディングに繋がります。前回の“実験計画法”の投稿で使用した“PCの満足度”への影響度(重量別・バッテリー持ち時間別)のグラフを見てみましょう。
左側はエクセルから出力されたグラフをそのまま並べた状態です。これを見ると“バッテリー持ち時間”の方が折れ線グラフの変動が大きく見えるので、満足度への影響度が高いように思えます。
それに対して、右側は“バッテリー持ち時間”のグラフの縦軸の最大値と最小値を、“重量”のグラフの縦軸を同じに修正しています。これで見ると、“重量”の方が満足度への影響が大きいことが分かります。こちらの方が正しいですよね。このようなミスリードをしないように、グラフの軸の最大値・最小値を気を付けたいですね!
②軸の単位
もう1点はグラフの軸の“単位”です。数値があまり大きくない場合は問題ないですが、例えば“売上高”とか金額を表す場合、何百万、何千万という単位になる場合が多いと思います。その場合に、グラフの軸に”1000000”とか”10000000”と表示されていてパッとわかりますか?経理部の人なら大丈夫かもしれませんが(笑)、プロジェクトのステークホルダーにはそうでない人の方が多いと思います。最低限“カンマ区切り(”1,000,000”、”10,000,000”等)“にしたいですね。できればカンマが必要になるような単位の場合、”1”、”10“として軸の上辺りに(単位:百万円)と記載すると、尚スマートです。
少し被りますが、この“円”等の単位表記も忘れないようにしましょう。よく見かけるのが数字だけしか表示されておらず、円なのかドルなのかユーロなのか分からないようなグラフです。作成している本人にとっては“当たり前”のことであっても、グラフを見せられる側からすると、細かい点でいちいち質問しないと分からない要素はなくしておいて欲しいものです。
3. 無理にグラフにしない方がいい場合もあります
ここまでグラフについて書いてきましたが、中には無理にグラフにしない方がいい場合もあります。例えばこちらの“支社別顧客満足度の5か年推移”を見てみましょう。
表1が元データで、図3がグラフ化したものです。支社別に色はついているもののゴチャゴチャして見づらいと思いませんか?このような場合は、無理にグラフ化せずに表のまま見せた方が良いと思います。まぁ、この辺りは好みの問題にもなってきますが。
今回はこのくらいにさせていただき、また次回以降、続けていきたいと思います。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。