問題解決は“人間系”が大事! – ステークホルダー分析

皆さまこんにちは。前回はリーンシックスシグマの最初のステップ“Define(問題定義)” のとりまとめで使われるツールとして、“5W2H”と“プロジェクト憲章(チャーター)”について書きました。

以前の投稿で、現状分析ではまず“MECE(漏れなくダブりなく)の考え方に基づいたファクト(事実)収集が大事”と書きました。その中で、3Cのフレームワークに基づくと、”外部調査(Customer/Competitor)“と”内部調査(Company)“が必要になると書きました。

今回から数回に渡って、この”内部調査“について書いていきたいと思います。最初は“ステークホルダー分析”からです。

1. ステークホルダー分析とは?

前回書いた“プロジェクト憲章(チャーター)”と同じく、“ステークホルダー分析”は、元々はプロジェクトマネージャー界隈のバイブルである”PMBOK“で出てくるものです(このPMBOKについては、また追って当ブログで書いてみたいと思います->書きました!)。

“ステークホルダー”とは、“プロジェクト関係者”くらいの意味合いです。プロジェクトを成功させるためには、“適切な人”に、“適切なスタンス”で携わっていただくことがとても大事になります。

“ステークホルダー分析”は、“適切な人”を洗い出し、その人の“現状のスタンス”を確認し、もし適切でなければどのようにスタンスを変えてもらうかを考えるための分析手法です。具体的には“権限 x 関与度マトリックス”と“関与度アセスメント”の2つのツールがあります。

2. “権限 x 関与度マトリックス”とは?

権限 x 関与度マトリックスとマッピングイメージ
図1: 権限 x 関与度マトリックスとマッピングイメージ

これが“権限 x 関与度マトリックス”のイメージ図です。その名の通り、縦軸は“権限(影響力)”、横軸は“関与度(関心度)”の2軸のマトリックスで、この上にステークホルダーの名前をマッピングしていきます。

まず縦軸の“権限(影響力)”ですが、“権限”については、人事上の職位を見れば割と明確に判断がつきます。少し厄介なのが“影響力”の方で、職位はそれほどでなくてもやたらと“声の大きい”人、よくいませんか(笑)?ただうるさいだけなら放っておけばよいのですが、冗談抜きで影響力を持つケースがあると思います。そこをしっかり考慮すべきです。

次いで横軸の“関与度(関心度)”ですが、これはプロジェクトに対するスタンスですね。

この2軸でマトリックスを作ると4象限できますが、図1にあるように象限ごとに対応の方向性が示されています。具体的にどんなことをすべきか、左上の象限から時計回りに例を挙げてみます。

左上:満足な状態を保つ->(例)プロジェクト初期に挨拶がてら軽くインタビューをする(“ご意見を伺った”という事実作り!)

右上:注意深くマネジメントする->(例)プロジェクトコアメンバーとして定例会議に参加してもらう(お偉いさんの場合、“ステアリングコミッティ”に参加してもらうのも一手)

右下:常に情報を与える->(例)定例会議の議事録は配布する

左下:監視する->(例)特に何もしない

縦軸の方は所与で変えようがない感があると思いますが、この横軸はある程度コントロール可能であり、コントロールすべきだと思います。ここで“関与度アセスメント”が出てきます。

3. ”関与度アセスメント”とは?

“関与度アセスメント”は、先ほどの“権限 x 関与度マトリックス”の横軸をもう少し細分化した表です。

関与度アセスメント(イメージ図)
図2: 関与度アセスメント(イメージ図)

縦軸にステークホルダーを並べます。横軸は左から、“不認識” -> “抵抗” -> “中立”-> “支援” -> “指導“の順に、関与度が高くなっていくイメージです。各々の定義は、以下の通り。

“不認識”:プロジェクトの存在を知らない

“抵抗”:プロジェクトの存在は知っているが、支持していない

“中立”:プロジェクトの存在は知っているが、抵抗も支持もしていない

“支援”:プロジェクトの存在を知っており、支持している

“指導”:プロジェクトの存在を知っており、積極的に取り組んでいる

まず各ステークホルダーの“現状のスタンス”をマッピングします。現状は”C (Currentの頭文字)“を記入します。次に”あるべきスタンス“をマッピングします。こちらは”D (Desiredの頭文字)“を記入します。”C“と”D”が同じセルにあれば良いのですが、もし“C”より“D”の方が右側のセルにある場合にはスタンスを変えてもらう必要があります。そのための施策を一番右の列に書き出していきます。施策例を幾つか挙げておきます。

現状、“不認識” -> プロジェクト広報活動。必要に応じて、個別に“ご説明に伺う”。できれば“支援”へ、最低“中立”に持っていきたい

現状、“抵抗” -> 個別に説得。埒が明かない場合、“上から落とす(抵抗者の上司に掛け合う)”のもアリ。最低“中立”に持っていきたい

現状、“中立” -> 個別に説得。できれば“支援”へ持っていきたい

現状、“支援” -> “指導”に持っていきたい人の場合、個別に説得

恐らく“抵抗”勢力への対応に苦慮されている方が多いかと思いますが、この例にあるように“上から落とす”等、第3者をうまく活用するのも一手です(バリエーションとして”横から攻める”、”下から行く”等もあり)。そのためにも、上記の“権限 x 関与度マトリックス”の左上象限で書いたような“挨拶がてらの軽いインタビュー”等はできるだけやっておくといいですね。それによって少しでもプロジェクトの“味方”を増やしておくのは大事です。

あと“抵抗”勢力への対応という意味では、三枝匡氏の“V字回復の経営”を読むこともオススメします。背筋が伸びる思いがしますよ!

今回はこのくらいにさせていただき、また次回以降、続けていきたいと思います。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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