”どの問題を解決すべきか?” – パレート図

皆さまこんにちは。前回は問題解決にあたっての“分析結果の見せ方”について書きました。

今回からは、またリーンシックスシグマについて少し書いてみたいと思います。以前の記事で、リーンシックスシグマの進め方はDMAIC(ドメイク)と書きました。これは“Define(問題定義)”⇒“Measure(問題の測定)”⇒“Analyze(分析)”⇒“Improve(改善)”⇒“Control(維持、管理)”の5ステップの頭文字をとったものでしたね。この中から、まずは”Define“について書いていきます。

“Define”はその名の通り、プロジェクトで解決すべき“問題を定義”するステップです。プロジェクト用語で言うと“スコープ決め”の段階です。ここを“フワッと”曖昧に進めると、後々大変になってくることは、問題解決者の皆さまはよくご存じですよね。とても大事なステップです。

今回はこのDefineでよく使われるツール類の中から、“パレート分析”について、書いてみたいと思います。

1. パレートの法則とは?

“パレートの法則”とは、イタリアの経済学者であるヴィルフレド・パレートさんが発見した法則のため、こう呼ばれています。

“ニッパチの法則”とか、“80:20(エイティ・トウェンティ)ルール”等とも呼ばれます。こちらの方が有名かもしれないですね。その名の通り、“売上の8割は、2割の商品アイテムで占められている”ですとか、“クレームの8割は、2割の原因に起因する”等といった状況はよくあると思います(実際は7:3とか6:4くらいになる場合の方が多いかも)。それらの状況を言い表した経験則です。

2. パレート分析とは?

ここで今回の本題の“パレート分析”ですが、上記の“パレートの法則”を視覚的に分析する手法です。

パレート分析例
図1 パレート分析例

こんな感じのグラフを見たことがある方は多いのではないかと思います。要は“ヒストグラム”と“折れ線グラフ”を組み合わせたものです。この例で言うと”売上高=6百万円~1千万円の顧客が約8割を占めている(=このセグメントの問題を解決すべき=ここがスコープ!)”ということが見えてきますね。

このパレート図も、エクセルで作ることができます。作り方は本当にたくさんネットに出ていますので、1つだけリンクを貼らせていただきます(総務省統計局記事)。

3. パレート分析のポイントは“ヒストグラム(の階級幅)”に有り!

パレート分析は“ヒストグラム”と“折れ線グラフ”の組み合わせ、と書きましたが、この“ヒストグラム”の作り方が大事で、これ次第で結果が変わってきます。

ヒストグラムは“度数分布表”とも呼ばれます(学校で習いましたよね)。度数というのは、ヒストグラムの縦軸で、各階級(ヒストグラムの横軸)の出現頻度数を表しています。で、大事なのはこの横軸の各階級の幅の決め方です。

まずこちらのヒストグラムは、“売上高別顧客数”を売上高=百万円単位で区切ったものです。バラつきがあって傾向は読み取りづらいですね。

ヒストグラム例(10階級)
図2 ヒストグラム例(10階級)

次にこちらのヒストグラムは、図2と同じデータですが、売上高=2百万円単位に区切り直したものです。こちらの方が、売上高が大きい顧客の方が多いという傾向が見やすくなっていると思います。この図3のヒストグラムを基にパレート分析したのが、上記図1になります。

ヒストグラム例(5階級)
図3 ヒストグラム例(5階級)

このように、同じデータを使っても設定次第で見え方がかなり変わりますので、注意が必要です。この階級幅の決め方は色々ありますが、『横軸の元となっているデータ(この場合は売上高)の最大値から最小値をマイナスし、その値を“5~10”で割って決める』というのが実務的によく使われるやり方です。何パターンか区切ってみて、傾向が見やすい幅を選びます。

あと“スタージェスの公式”というのもあります(実際に実務で使われているのを見たことないですが)。興味のある方はググって見てみてください。

今回はこのくらいにさせていただき、また次回以降、続けていきたいと思います。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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