皆さまこんにちは。前回は、成功するナレッジマネジメントのために不可欠な“よいナレッジマネージャー”に必要な3つの資質(①暗黙知、②他者への貢献意欲、③GRIT)のうち、③GRIT(やり抜く力)の育成方法と、そのために有用な“成長マインドセット”という考え方について書きました。
今回は問題解決者に求められる、また別のソフトスキルとして“プレゼンテーション”について書いてみたいと思います。とは言っても、この分野は既に語り尽くされていて、本やWebサイト等、本当にたくさんあります。なので、それらの参照先の紹介が中心になってしまうかもしれませんが(苦笑)、うまくポイントを整理できればと思います。
プレゼンテーションには大きく2つの要素があると思います。1つ目は“コンテンツ”、2つ目が“話し方”です。各々について書いていきます。
1. プレゼンテーションの“コンテンツ(中身)”
英語の”Present”という言葉には色々な意味がありますが、“プレゼンテーション”として使われる場合には、“発表する”、“提示する”といった内容になります。ですので、“プレゼンテーション”というからには、何等か話す“中身”が必要になります。パワーポイント等のスライド資料を使うか否かはさておき、まず話す“中身”が大事な訳です。
“中身”を考えるに当たっては、“ロジカルシンキング”が大事となります。この“ロジカルシンキング”も語り尽くされているので、幾つか本をご紹介します(コンサル会社の方は、既に読んでいますよね、笑)。
で、ロジカルシンキングの基本となる考え方が、以前に当ブログでも書いた“MECE”です。これも抑えておきましょう。ロジカルシンキング、MECEの考え方で話すべき内容を整理すると、“ロジックツリー”が出来るはずです。

それをそのまま話すのでも“プレゼンテーション”にはなりますが、多くの場合、パワーポイントのスライド等、資料を準備すると思います。大体、こんな構成になると思います。

最初のページで”ロジックツリー“を使ってコンテンツの全体像(ストーリーライン)を説明します。そして、2ページ目以降で、ストーリーラインを構成する各メッセージをサポートするファクトを入れます。2ページ目以降ですが、スライド上部に”メッセージ(リード文とも言う)“、その下に”ファクト”を入れるという構成が一般的です。
2. プレゼンテーションの“話し方“
“コンテンツ(中身)”ができたら、いよいよ“しゃべり”です!この分野も語り尽くされていて、例えば“聴衆と順番にアイコンタクトをとる”、“身振り手振りでジェスチャーを交える”、“体を左右に揺らさない”等々、どれもその通りだと思います(分かっていても、実際にできるかはまた別問題なのですが)。
で、ここでは1つ面白い視点で、“声”の使い方についてご紹介します。“音の専門家”であるジュリアン・トレジャー氏のTed Talkでの動画をご覧ください(約10分、4分あたりから見ることをおススメします。お時間ない方は、下へ読み進めてください)。
面白いのは、声の”Toolbox(道具箱)“です。道具箱には下記の6つがあるのだそうです。
①Register(声域):重みを出したいなら、胸から声を出すのだそうです。
②Timbre(声質):滑らかな声質でなくても、ボイストレーニングで改善できるのだそうです。
③Prosody(韻律):声の抑揚です。
④Pace(ペース):ゆっくり話したり、間を置くことで強調できる、沈黙は悪くないと言っています。
⑤Pitch(音の高さ):これを変えることで、同じ文章でも意味が変わる(場合がある)そうです。
⑥Volume(声量):当然これは大事ですよね。
最後にプレゼン前の、ウォームアップエクササイズも紹介されているので、試してみてください(笑)。
3. 語り尽くされているのに、なぜ未だにプレゼンが苦手な人がいるのか?
さて、これだけプレゼンテーションについては、本やWebサイト上の情報があふれ、語り尽くされているのに、上手い人とそうでない人がいるのでしょうか?上にも書きましたが、“わかっている”のと“実際にできる”のは違うのですね。その違いを埋めるのは練習しかないです(笑)。ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズといったプレゼンの名手と言われた人たちも、重要なプレゼンの前ではリハーサルに余念がなかったそうです。
それでは練習のポイントを幾つかご紹介します。
a. 事前に複数回リハーサル
会議室をとって、できれば何人か聴衆役にも入ってもらって、何回もリハーサルしましょう。話す内容を一語一句覚えるくらいまでやるのが理想です。
b. リハーサルを録画
今はスマホで簡単に録画できます。自分がプレゼンしている姿を録画して、直すべきポイントを確認しましょう。他人に指摘してもらうのも為になりますが、自分で自分の姿を見るのが、一番“ダメさ加減”がわかります(笑)。
昨今だとオンラインプレゼンも多いかと思いますが、オンラインの場合、自分で会議の主催者になると録画できる機能があると思いますので、テスト会議を主催して、それで録画してみましょう。画面上でどう映るかがわかります。
c. 言葉の“ひげ”取り
録画して自分のプレゼンを見てみると、多くの人が“え~”とか、“あの~”とかいった言葉を発して、間ができないように話をしていることに気が付くと思います。この“え~”とか“
あの~”とかを、言葉の“ひげ”と言います。これをなくすだけで、プレゼンはグッと聞きやすくなります。
“ひげ”取りのためのちょっとした練習方法を1つ、ご紹介します。
・何人かのグループを作ります。水が半分入ったコップをグループ全員で囲んで立ちます。
・1人づつ順番に、“水が半分入ったコップ”について30秒間話します。話す内容は何でもよいです。
・“ひげ”なしに30秒間話せたら座ります。但し、一言でも“ひげ”が入ったらその時点でアウト!次の人に移ります。最後まで立っていた人が負け、というゲームです。
これをやると“ひげ”に意識がいくようになり、段々取り除いていくことができます。
それでは最後に、アル・ゴア元アメリカ副大統領の首席スピーチライターを務めたダニエル・ピンク氏のTed Talkでの動画をご覧ください(約18分)。ちょっと長いですが、“アイコンタクト”、“身振り手振りによるジェスチャー”、今回ご紹介した“声のToolbox”をすべて駆使した圧巻のプレゼンです。
今回はこのくらいにさせていただき、また次回以降、続けていきたいと思います。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。