皆さまこんにちは。前回は“to-be(あるべき姿構想)”の中で、現場メンバーに問題解決策を考えてもらう場である“ワークショップ”について書きました。
当ブログでは、問題解決に必要なソフトスキル(特定のツールやテクニックを“ハードスキル”というのに対し、コアスキル・基礎スキル的な感じ。ファシリテーションもその1つ)についても書いてみたいと考えています。これまでの投稿で“ファシリテーションについて、追って書いてみたいと思います”と既に何回か書いてきましたので、今回は“to-be(あるべき姿構想)”は1回お休みして、その“ファシリテーション”について書いていきます。
1. “ファシリテーション”とは? – まず“マインドセット(心構え)”が大事!
“ファシリテーション“でググると本当にたくさん出てきますので、1つだけリンクを貼らせていただきます(グロービス様記事)。まぁ概ね”会議を円滑に進める手法“くらいの定義かと思います。
この“会議”にも色々あって、“ただの情報共有(これ本当に要るのか?という感じですが)”とか“1on1”とか、他にもあると思います。それぞれに即したファシリテーションがあると思いますが、今回は、問題解決者の皆さまにとって大事な、“複数人で、問題解決について議論する会議”を念頭に置いて書いていきます。
定義についてもう一言。個人的には、“会議の目的を達成するために、会議を円滑に進める手法”だと思います。なので、当然 a) 会議の目的を明確化し、b) 目的に沿ったアジェンダ、c) アジェンダに即した参加メンバーが招集されるべきです。この辺の準備段階は、今回は割愛します。
で、このファシリテーションで最も大事なことは、“マインドセット(心構え)”だと個人的には考えています。
具体的には“どんどんホワイトボード(ホワボ)の前に出て、ペンを手に取る”ということです。最近はオンライン会議が増えていると思いますが、その場合は“どんどん画面をシェアする”ということですね。
とりあえず前に出て何か書き始めると、他の参加者も話しやすくなって、“そこはそうじゃない”、とか“こう書いて”等と色々言い始めます。結構、皆助けてくれます。こうなればしめたもので、後はまぁ何とかなります。 いきなり精神論かよ、と思われる方もいるかもしれませんが(笑)、これが本当に大事で、ファシリテーター役は躊躇なく買って出ないと中々やれませんし、ただやればやるほどどんどんうまくなるものでもあります。ので、皆さま“どんどん前へ”出ましょう!
2. “ファシリテーション”のテクニック – “ホワボの前で固まらないために“
とは言え、実際にホワボの前に出て“頭が真っ白になって、固まってしまったらどうしよう”とか、“赤っ恥はかきたくない”と思うのが人情です。そうならないためのテクニックを幾つかご紹介します。
何はともあれ“箇条書き”
最初はとりあえず、聞いたことをどんどん“箇条書き”しましょう。これだけでも何となくサマになりますし、書き始めると、皆、結構助けてくれるので大丈夫です。で書きながら、“ここはこういう事ですか?”とか、“それもう1回言ってもらってもいいですか?”等と言えるようになれば、一端のファシリテーターです(笑)。
やっぱり“フレームワーク”が大事
以前にも投稿しましたが、問題解決者にとって色々なフレームワークを持っておくのは大事です。ファシリテーションでも大いに力を発揮してくれます。特にファシリテーションで役立つフレームワークを幾つか紹介します。
“①横に区切る”
ホワボを横方向に区切ります。一番シンプルなのが“二面法”で、文字通り横方向に2つに区切ります。例えば“良いファシリテーター”と“悪いファシリテーター”について、どんどん挙げてみましょう!という感じです。”Pros”と”Cons”とか、色々応用できますよね。このように、あらかじめ構造を示されると、ミーティングの参加者は考えやすくなります。
この“二面法”の発展で、3つに区切ったり(例:3C – Customer/Competitor/Company)、4つに区切ったり(例:4P – Product/Price/Place/Promotion)とできます。更に発展形で横軸にプロセスを置いて議論することもできますよね。
“②縦に区切る“
上級編です(笑)。上記のように横に区切った後、更に縦に区切ります。そうするとマトリックスになりますよね。例えば、先ほどの“良いファシリテーター”と“悪いファシリテーター”の例で言うと、縦軸に“キャラクター面”と“振る舞い面”を加えることで、更に分類できます。この中で、“キャラクター面”を変えるのは難しいですが、“振る舞い面”は変えられそうですね。もう少し“振る舞い面”を挙げてみましょう!というように議論を進めることができます。
昨今はコロナ禍の影響で、オンライン会議が急速に定着しましたよね。上述のテクニックはホワボベースですが、オンライン会議でも同様に使えます。違いはホワボの代わりにパワポ等のプレゼンソフトを使う点だけです。
3. 会議参加者からの意見の引き出し方
次いで、参加者からの意見の引き出し方です。何も言わなくても、どんどん意見を出してくれる参加者ばかりですと、特に引き出すまでもないですが、そのようなケースはむしろ少ないのではないでしょうか?色々困る場面が多いと思います。ここでは困る場面別に、対処法を幾つか紹介します。
“シーン”となってしまう場面
誰もが恐れる“沈黙”です(笑)。まぁ沈黙も必ずしも悪いことばかりではないと思いますが、それは一旦置いておきます。さて、“シーン”とならないための対処法は2つです。要は指名することです。
“端から指名”
文字通り、端から順番に指名していく方法です。この方法のメリットは、何も考えずに指名できるのでやりやすい点です。また公平感もありますね。デメリットは、慣れてくると惰性になるので、時折指名順を逆にする等の工夫が必要です。
“ピンポイント指名”
文字通り、ピンポイントで特定の人を指名するやり方です。この方法のメリットは、質問に対して適任のメンバーがいる場合には、その人にピンポイントに振ることができる点です。デメリットは、質問に対して誰が適任か明確でない場合に、誰を指名しようか迷いが生じる点です。フェーストゥフェースの会議の場合は、雰囲気で当てることができると思いますが、オンラインの場合は、参加メンバー表を手元に置いておくと指名しやすいと思います。
“うるさいメンバー”がいる場面
しゃべり始めると止まらない人、いますよね(笑)。理路整然とならいいですが、この手の人に限って、話が明後日の方向に行きがちです。この場合の対処法も2つあります。
”無理やりジャンプイン”
“うるさいメンバー”が話し始めると中々止められないですが、止めるチャンスがあります。“息継ぎ”のタイミングを狙うのです(笑)。一瞬止まった際に、間髪入れずに(これすごく大事!)“はい、ありがとうございます!それでは次は△△について話しましょう”等と局面を変えようとする、やり方です。これ一発で止まることはあまりないと思いますが、何回かやるうちに何となく収まってくるのを待ちます。まぁ”イエローカードを出す”みたいな感じですね(笑)。
”パーキングロット”
これは聞いたことがある方も多いかもしれません。“駐車場”という意味ですが、文字通り、“うるさいメンバー”の意見を駐車しておくスペースをホワボ上に作り、そこに書き込みます。そして“ご意見はこういうことですね。ありがとうございます。ただ本題から少しそれているようなので、後で話しましょう”、といってその場を切り抜けます。後で本当に話すことはあまりないと思いますが(笑)。“無理やりジャンプイン”よりは丁寧な(に見える)やり方です。
もう1点、ファシリテーションについては“発散と収束”という概念が大事ですが、これはまた追って当ブログで書きたいと思います。
最後にファシリテーション関連のお勧め図書を2冊ほど紹介します。
今回はこのくらいにさせていただき、また次回以降、続けていきたいと思います。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。