皆さまこんにちは。前回は“to-be(あるべき姿構想)”の中で、アイディア出しの定番である“ブレーンストーミング(ブレスト)”について書きました。
今回は”ブレーンストーミング(ブレスト)の実践編”として、割とよくあるテーマである(人によるかもしれませんが)、新規事業・新商品・新サービス等のアイディア出しについて書いてみたいと思います。これまでのリーンシックスシグマの問題解決は、現状業務・プロセス上の問題を定義~深堀しながら根本原因を特定し、解決策のアイディア出しをしていく流れでしたが、この新規事業・新商品・新サービス等のアイディア出しは、またちょっと違った工夫が必要になります。
そして今回も問題解決者必須のツールである“フレームワーク”が大活躍します!複数のフレームワークを組み合わせて、マトリックスを作りながら思考を促進していくのがポイントです。まさにファシリテーションテクニックですね。
1. (新規事業・新商品・新サービス等の)大まかな方向性を考える
“新規事業や新商品、新サービスを考えて“と言われたらどうしますか?”そんなに考え込まなくても、どんどん閃くよ!“という天才肌や、”アイディアなんて買えばいいんだ!“というお金持ちは、ここでは対象外です(笑)。そうではなく、”そんな事言われても、困ったなぁ“というトホホな人が対象です。
で、そんな場合、困っていても仕方ないので、ひとまず大まかなアイディアの方向性を考えます。その時に役立つのがこのマトリックスです。
縦横とも二面法を活用した軸で、縦軸が顧客軸(既存/新規)、横軸が事業軸(既存/新規)です。左下がまさに現状で、ここから上・右斜め上・右のどこに進むか、という議論になります。
上:既存事業・商品・サービスを活用して、従来とは違った顧客層を開拓。例えばオフィスグリコは、従来はあまりお菓子を食べていなかった(というイメージがあった)中高年男性会社員を開拓しています。
右:既存顧客層に対して、新たな事業・商品・サービスを提供。例えば自動車メーカーが自社製品購入者に提供するカーローン等があります。
右斜め上:新規顧客に対して、新たな事業・商品・サービスを提供するという最も“畑違いな”、難易度の高い方向性です。例で挙げているホンダジェットは、飛行機をB2B向けに提供します。またドコモリサーチは、自社顧客ベースをリサーチパネルとして活用したリサーチサービスを、B2B向けに提供しています。
上記の通り、“上”ないし“右”に行く方が難易度は比較的低く無難と言えます。“右斜め”狙いは難易度が高いため、大きなブレークスルーを狙う必要がある時はこっちでしょうね。ただ上記で挙げた例(ホンダジェット、ドコモリサーチ)も、全く何の脈絡もない訳ではなく、自社の既存のリソース(ホンダジェット⇒エンジン技術、ドコモリサーチ⇒顧客ベース)をうまく活用しているのがポイントです。
2. より具体化する – まずターゲット顧客にフォーカス
大まかな方向性が決まったら、もう少し具体的に何をするかを考えていきます。例えば図1の右の方向(既存顧客層に対して、新たな事業・商品・サービスを提供)だとすると、既存顧客のカスタマージャーニーを横軸にとって考えることができます。
まずカスタマージャーニー上で、現状自社が提供している事業・商品・サービスをマッピングします。その上でホワイトスペース(空地)があれば、そこが狙い目になるのです。
また図1の上の方向(既存事業・商品・サービスを活用して、従来とは違った顧客層を開拓)だとすると、新しい顧客層なので、カスタマージャーニーでもいいのですが、別のフレームワークを使ってみましょう。
“中高年男性の1日”を軸にとっていますが(笑)、殆どオフィスにいる訳です(最近は在宅も増えているので、ちょっと状況が違いそうですね)。ただ夕方や残業等で小腹が空いてそうな時間帯はある訳で、そこを狙ってオフィスにお菓子をおいてしまおう、というのがオフィスグリコの発想ですね。 こんな感じで、既存のフレームワークはもとより、色々想像力を働かせてフレームワークを置いてみましょう。ここで挙げたような”〇〇の1日”や”1年間”等、タイムライン(時間軸)は結構使えるフレームワークです。アイディアが触発されると思います。
3. さらに具体化する – もう1つ軸(フレームワーク)を加える
この手のアイディア出しでよくあるのが、“一生懸命考えたら、既に他社がやっていた”というトホホな事態です(笑)。それを避けるためにも、もう1軸フレームワークを加えて、議論を具体化しましょう。
そしてこれのフレームワーク/マトリックスを使ったブレストですが、前回書いたように“発散”⇒“収束”を意識して、アイディア出し⇒絞り込みしていきましょう。
これで万全!いいアイディアが出たのではないでしょうか?
今回はこのくらいにさせていただき、また次回以降、続けていきたいと思います。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。