皆さまこんにちは。前回はリーンシックスシグマの最初のステップ“Define(問題定義)”でよく使われるツールの中から“パレート分析”について書きました。パレート分析は、パレートの法則を視覚的に分析するツールで、プロジェクトの“スコープ決め”に使われるのでしたね。
今回も同じく“スコープ決め”に使えるツールとして、SIPOC(サイポック)について、書いてみたいと思います。
1. SIPOC(サイポック)とは?
“SIPOC”と書いて“サイポック”と読みます(シーポックと言う人もたまにいます)。これだけだと“?”だと思いますが、SIPOCは”Supplier” – “Input” – “Process” – “Output” – “Customer”の頭文字をとったものです。
“顧客が大事だ”、“顧客中心主義だ”と言って、順番を”Customer” – “Output” – “Process” – “Input” – “Supplier”にして、”COPIS(コピス)“とすべきだ!という人もいますが、中身は同じです(笑)。なので、呼び方はお好みでいいと思います。
で、どんなものかということですが、”Supplier” – “Input” – “Process” – “Output” – “Customer”と聞いて、“プロセスのこと?”、“バリューチェーン(グロービス様記事)?”等と想像した方は勘が鋭いです。その類のものなのですが、細かいプロセスではなくて、大まかな流れを、自社だけでなくサプライヤーから顧客まで含めて概観するツールです。
注意点は、ここでいう“サプライヤー”や“顧客”は文字通りの場合もあれば、自分達の“前工程”、“後工程”の場合もあるということです(そのようにも使えます、ということですね)。
2. SIPOCのフォーマットと作成手順
ここで実際にどんなものか、フォーマットを見てみましょう。“こうでないといけない”
というものはなく、”Supplier” – “Input” – “Process” – “Output” – “Customer”の各要素が書き込めれば何でもいいのですが、例えばこんな感じです。
作成手順は、図1の中に番号を振りました。まず”Process”をリストアップして、次に”Output”と”Customer“側、その次に”Input”と”Supplier”側と進みます。これも必ずこうでないといけないというものではありません。あくまで参考です。
こんな感じで、シンプルで自由度が高いフォーマットなので、実際に作成する時には、プロジェクトのステークホルダーを集めて、ディスカッションしながら作っていくのもいいかと思います。どこをスコープにするか、もその場で決められますしね。
3. SIPOCを作る時は、“鷹の目”で!
“鷹の目、蟻の目(鳥の目、虫の目という場合もありますね)”という言葉がありますよね?鷹は空高く飛んで、下界を幅広く見ているのに対し、蟻は地面の細かいところを見ていることから、“状況に応じて目線を変える”ことを説いた言葉です。
SIPOCを作る時は、まさにこの“鷹の目”を持つことが大事になります。プロセスマッピングっぽい(業務プロセスについては、当ブログでまた追って書きたいと思います)ので詳細に入っていきやすいですが、この段階では目線を上げて、粗く、幅広く概観します。
1つ例を挙げてみます。まずこちらの動画をご覧ください(40秒くらい)。
皆さまよくご存じ“ビッグマック”の作業工程ですね。これを見てSIPOCを書いてください、と言われたらどう書きますか?
見た通りだと、
①バンズをトーストする
②パッケージを準備する
③バンズにビーフやピクルス等載せる
④パッケージを閉じてキャッシャーへ
といった感じだと思います。
ただSIPOCの場合は、『この前にオーダーが入ってくるはずだ』と察して、“キャッシャーからオーダーを受ける”、更には“顧客からキャッシャーがオーダーを受ける”まで含めるのがいいと思います。 そうするとSIPOCは、
①顧客からキャッシャーがオーダーを受ける
②キャッシャーからオペレーターがオーダーを受ける
③オペレーターがビッグマックを作る
④オペレーターからキャッシャーへパッケージを渡す
⑤顧客へ
という流れになります。
逆にビッグマックを作る手順は、SIPOCの段階ではまだ細かくする必要はないのです。まぁ、これもケース・バイ・ケースかとは思いますが、何となくレベル感が伝われば幸いです。
今回はこのくらいにさせていただき、また次回以降、続けていきたいと思います。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。