”コンジョイント分析“のポイント

皆さまこんにちは。前回は問題解決にあたって“一次調査(独自調査)”をする際の分析手法の1つとして“重回帰分析”について書きました。今回はまた別の分析手法である“コンジョイント分析”について、書いていきたいと思います。以前の投稿で、“私が比較的使えると思っている分析手法“として取り上げた4つの分析手法(カスタマージャーニーマッピング、狩野モデル、重回帰分析、コンジョイント分析)の最後になります。

1. “コンジョイント分析”とは?

コンジョイント分析とは、商品・サービスのコンセプト開発時によく使われる分析手法です(商品・サービス開発以外にも色々使えますが)。“マーケティング分野の実験計画法(実験計画法については、また追って当ブログで書きたいと思います⇒書きました!)”等とも呼ばれるように、商品・サービスのコンセプトを構成するどの属性(例:PCの重量、バッテリーの持ち時間、等)が消費者の購買意欲や顧客満足度に影響しているのかを定量的に分析することができます。

2. “コンジョイント分析”の使い方、見方

具体的な分析の進め方はたくさんネットに出ていますので、1つだけリンクを貼らせていただきます(マクロミル様記事)。

コンジョイント分析の進め方を大きく“調査設計”段階と“分析”段階に分けると、調査設計段階のポイントは“直交表”分析段階のポイントは“重回帰分析”と私は考えます。

①調査設計段階のポイント – 直交表

コンジョイント分析の調査設計段階では、“コンジョイントカード”を作ります。これは商品・サービスを構成する属性と水準の組み合わせです。下記の例で言うと、”重量”、”バッテリー持ち時間”、”HDD容量”、”価格”が属性です。で、”重量”で言うと“1kg”、”1.5kg”、”2kg”というのが水準になります。

コンジョイントカードイメージ
図1:コンジョイントカードのイメージ

このカード1枚が1コンセプトであり、消費者にアンケートで各コンセプトを評価してもらいます。評価の仕方は大きく2つ、A) 順位評価B) 得点評価があります。A) 順位評価は、コンセプトの中で消費者が魅力を感じるものから順番に連番を振ってもらう、というやり方です(18コンセプトなら1位から18位まで)。B) 得点評価は、いわゆる顧客満足度のような形で3段階、5段階なり10段階といったスケールで回答してもらいます。A) 順位評価の方がより厳密でありますが、全部を並べるためコンセプト数が多くなればなるほど回答者の負荷が高くなるデメリットがあります。B) 得点評価の方が回答者フレンドリーですね。スケールも少ない方が回答しやすいです。この辺を念頭に調査設計する必要があります。

このコンジョイントカードを作る際に、“直交表”というものが役立ちます。商品・サービスの属性や水準(例:PCの重量⇒1kg、2kg、等)を増やしていくと、組み合わせが膨大となりコンジョイントカードもものすごい数になります。直交表はこの組み合わせの数を劇的に減らしてくれるという優れモノです。直交表自体の説明もたくさんネットに出ていますので、1つだけリンクを貼らせていただきます(シグマアイ様記事)。

直交表には属性や水準の数によって様々な種類が用意されていますが、先ほども書いた通り、あまり数が増えると実用的ではありません。L4(2水準x3属性)、L8(2水準x7属性)、L9(3水準x4属性)、L18(2水準x1属性、3水準x7属性)くらいが現実的かと思います。L18が一番多く使われているという説もあります。2水準と3水準の混合で適当なサイズ、ということだと思いますが、コンジョイントカード18枚!も結構な負荷だと思います。通常はこの位が限界でしょう。

この直交表に、商品・サービスの属性・水準を検討して、割り当てていきます(逆に直交表を意識してアイディア出しをする必要もあると思います)。ちなみに直交表の属性(列)は空いてしまっていても大丈夫です。無理にぴったり合わせる必要はないです。また直交表の割り当てにあたっては、“線点図”とか“交互作用”という考え方が出てきますが、実務的には一旦置いておいて大丈夫です(深堀したい方は、ググってみてください)。

②分析段階のポイント – 重回帰分析

コンジョイントカードをつかってアンケート調査をすると、カード1枚ごとに消費者の評価(そのカードの評価の平均値)が出てくると思います。

直交表割付とコンセプトごとの満足度(平均)
図2:直交表割付とコンセプトごとの満足度(平均)のイメージ

このデータを分析していくのですが、コンジョイント分析の分析ロジック自体は、実は重回帰分析と同じです。ですので、エクセルでも分析できるのがいいですね!(SPSS等の統計ツールを使った方が、色々楽だったりもしますが)

分析の際に各属性の水準を”1”と”0”に置きかえています(例:重量1kgであれば、1kgの列が”1”で、1.5kgと2kgは”0”とする)。この時、1kgが”1”で1.5kgが”0”であれば、2kgは必然的に”0”ですよね。このように必然的に決まる列は削除します。属性の中のどの列でもいいのですが、上図では黄色の列を削除しています。

コンジョイントカードの属性・水準ごとの係数(結果変数である消費者評価への影響)が出力されます。各属性の係数の最大値から最小値を引いて“影響度(効用と呼ばれたりもします)”を出します。

重回帰分析から影響度を算出
図3:重回帰分析から影響度を算出するイメージ

3. コンジョイント分析結果の活用方法

重回帰分析結果の活用方法は2つ、a) 影響度の絶対分析b) 予測式の作成です。

a) 影響度の絶対分析は、先ほど算出した“影響度”を単純にグラフで比較するものです。大きい順に並べ替えてみせるのがいいですね(グラフの選択方法は、また追って当ブログで書きたいと思います⇒書きました!)。

影響度グラフ
図4:影響度グラフ

b) 予測式の作成は、重回帰分析ですので、”Y=ax+bx+cx…+d”の形に当てはめるだけです。上の図3の各属性の最大値を足していきます。

満足度 = 1.33 + 0.07 + 0.00 + 0.73 + 2.77(切片)= 4.9

この例のアンケート調査は5段階評価でしたので、5段階中4.9という高いポイントが期待できる、と予測できます。

今回はこのくらいにさせていただき、また次回以降、続けていきたいと思います。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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