皆さまこんにちは。前回はリーンシックスシグマの最初のステップ“Define(問題定義)”で“スコープ決め”に使えるツールとして、SIPOC(サイポック)について書きました。
今回も同じく“Define”で使われるツールで、VOC(顧客の声)から社内の改善機会を特定するツールである、CTQ(シー・ティー・キュー)について、書いてみたいと思います。
1. CTQ(シー・ティー・キュー)とは?
“CTQ”は”Critical To Quality”の頭文字をとったものです。3文字略語ばかりで嫌になっちゃいますね(笑)。直訳すると“品質にとって重要(なもの)”という感じです。“重要品質特性”と言われたりもしていますが(econoshift様記事)、特に決まった訳語はないようで”CTQ(シー・ティー・キュー)とリーンシックスシグマ界隈では言われています(リーンシックスシグマ派でない問題解決者界隈では(笑)、あまり知られていないかもしれません)。
で、どんなものかということですが、冒頭でも書きましたが“VOC(顧客の声)から社内の改善機会を特定する”ツールです。
問題解決に当たっては、まずは“ファクト(事実)”収集が大事、と以前書かせていただき、そのための調査手法や分析手法を当ブログで書いてきました。CTQもそのような分析手法の1つとも言えますが、いわゆる定量分析ではなく、定性的な分析手法です。
2. CTQの作り方 – “CTQツリー“
それでは簡単な例を使って、CTQを作ってみます。出発点はVOCになります。ここではわかりやすく“お店に入ったら、すぐにおいしいコーヒーを飲みたい”とします。このVOCを起点にツリー構造で作成します。なので“CTQツリー”と言われたりもします。まずイメージ図を見てみましょう。
VOC自体は、この例にあるように曖昧な表現が多いですよね。そのままだと“何を、どの程度”達成すればVOCを満たせるのかがわかりません。そこでCTQツリーの出番です。
VOCをまず“ドライバー”に分解します。ドライバーとは、“(VOCを)満たすための達成すべき要素”です。ここでは“すぐに”と“おいしい”という2つの要素に分解しています。そこからいよいよ“CTQ”が出てきます。“すぐに”に対しては“注文後、5分以内”、“おいしい”に対しては“温度=65度”、“PH値=9”としています。このように“(できるだけ)数値化する”ことがCTQの重要なポイントです。
実際にCTQに落とすにあたっては、社内の適切なステークホルダー(識者)と話すのはもちろんですが、必要に応じて顧客調査を行って、しっかり確認することが大事です。
CTQの作り方で、あと1つ、“品質機能展開(QFD: Quality Functional Deploymentとも言われます)”というのもあります。ゴチャゴチャした感じがするので、私は殆ど使ったことがないですが、より精緻に考えたい場合には良いかもしれません。参考までに1つだけリンクを貼らせていただきます(Lucidchart様記事)。
3. CTQから社内の改善機会を特定する! – CTQと業務プロセスをクロス分析
冒頭で、CTQとは“VOC(顧客の声)から社内の改善機会を特定するツール”と書きました。図1のCTQツリーだけでも、何となく改善すべき所は浮かんできそうですが、もう少し具体的な改善機会を洗い出すために、業務プロセス(プロセスマッピングについては、追って当ブログで書きたいと思います⇒書きました!)とのクロス分析をします。
業務プロセスは横軸に書きたいので、図1で出てきたCTQを縦軸に並べ替えています。この縦:CTQ x 横:業務プロセスのマトリックスの中で、改善機会を洗い出していきます。
この例で言うと、“注文後、5分以内”については、“注文をキッチンに伝える”際に手書きしている部分と、“コーヒーが完成”した後、しばらくほったらかしになっている部分がボトルネックになっています。また“温度=65度”についても、しばらくほったらかしにしてしまう部分が改善機会ですね。“PH値=9”については、水道水を使っているのが改善機会です。余談ですが(笑)、日本の水道水のPH値は7で、本来コーヒーには適しているのだそうです。PH値9というのは、よりアルカリ性の状態で味がまろやかになるのだとか(コーヒーステーション様記事)。
こんな風に見ていくと、改善機会がだいぶ明確になりますね。
今回はこのくらいにさせていただき、また次回以降、続けていきたいと思います。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。