皆さまこんにちは。前回は“内部調査”で使われる手法の1つとして、“ステークホルダー分析”について書きました。
今回は、その“内部調査”における王道とも言える“社内インタビュー”について書いてみたいと思います。
皆さまがプロジェクトにアサインされたり等で、問題解決をする時に、とりあえず社内の識者に話を聞こう、ということでインタビューをセッティングすることが多いのではないかと思います。インタビュー自体はとても大事なことだと思いますが、そのインタビューの準備は皆さまどうされていますでしょうか?
“話せば分かる”等と言って、質問事項もリストアップせずに“手ぶら”でインタビューに臨んでいませんか?質問される側(インタビューイー)も、質問する側(インタビューワー)の皆さまも、それなりに時間を費やすことになるので、やるなら“意図を持って有意義な”インタビューにしたいものです。
私はインタビューには大きく2種類あると考えていまして、1つは内部課題の洗い出し・深堀りのためのインタビューで、これを“構造化インタビュー”と呼びたいと思います。もう1つは、前回の”ステークホルダー分析“で書いたような”挨拶がてらの軽いインタビュー“のようなもので、これを”非構造化インタビュー“と呼びたいと思います。
1. “構造化インタビュー”とは?
“構造化インタビュー”は上記の通り、内部課題の洗い出し・深堀りのためのものです。こちらがインタビュー調査のメインだと(であるべきだと)思います。
これまでの“外部調査”で、色々な調査・分析を行って、取り組むべき問題・スコープは絞られているはずなので、ここでは、その取り組むべき問題に関して、具体的な社内の問題点・課題を洗い出していきます。ほとんどの場合、社内の業務に関連した話になると思いますので、業務プロセスをベースに、プロセスに沿って質問していくのがよいと思います(業務プロセス分析については、また追って当ブログで書いてみたいと思います)。
以前”CTQ(シー・ティー・キュー)“について書いた投稿で出てきた、コーヒーショップの例で話を進めます。
“業務プロセス”と“プロセスタイム”、“問題点(仮説)”は既にあるので、まずこれを共有します。“問題点(仮説)”の提示は大事です。何もないままに“何か問題点はないですか?”といきなりオープンクエスチョンで入ると、インタビューイーが答えに詰まったり、答えが“あさっての方向”に行ったり(笑)となりがちなので、仮説を提示して“この仮説が正しいかどうか?(質問①-1)”確認します。もし正しくないのであれば、“何が正しいのか?(質問①-2)”を聞きます。また“仮説以外に、どんな問題点があるか?(質問①-3)”も聞きます。仮説を提示することでこちらの求めている“レベル感”を示すことができるので、インタビューイーも回答しやすいはずです。
次に深堀りで、“なぜそのような問題が起こっているのか?(質問②)”も聞きます。どこまで深堀るかについては、“5回のなぜ”が参考になります。必ず”5回“と決まっている訳ではないですが、”解決すべき根本原因にたどり着いた”と皆さまが感じることができるまで深堀りたいですね(”5回のなぜ”については、追って当ブログで書いてみたいと思います)。
またこの例では“業務プロセス”と“プロセスタイム”が既にありますが、せっかくなので、これも現場レベルの方に確認いただいて、もし違和感があれば修正していきます。また既存の“業務プロセス”と“プロセスタイム”がない場合は、まずこれらを確認するところからインタビューをスタートする必要があります(質問⓪)。この場合も、手ぶらではなく、“業務プロセス(仮説)”をある程度事前に準備して、確認していく形で進めたいものです。
2. “非構造化インタビュー”とは?
次に“挨拶がてらの軽いインタビュー”等の“非構造化インタビュー”です。非構造化と言いつつ、こちらも手ぶらで行くのではなく、アジェンダはきちんと準備して臨むべきです。
アジェンダ例:
1. プロジェクトの概要説明(10分)
2. プロジェクトへのご意見・ご要望等(15分)
3. その他(もしあれば)(5分)
“プロジェクトの概要説明”では、以前に投稿した“プロジェクト憲章”を中心に、主だった調査・分析結果等も共有します。その上で“プロジェクトへのご意見・ご要望”を伺っていきます。“構造化インタビュー”のようなカチッとした質問リストは見せないものの、皆さま自身の頭の中では、ある程度の質問リストを持っておくのがよいと思います。
私は“インタビュー・ツリー”と呼んでいますが、質問に対するインタビューイーの反応に応じて、次の質問を想定しておきます。よくありがちなのが、その場で“はい、そうですよね~”等と言いつつ、一生懸命次の質問を考えるような場面ですが、事前にインタビュー・ツリーを準備しておくことで、限られたインタビュー時間で有効な情報を引き出すことができると思います。
そしてアジェンダ最後の“その他(もしあれば)”ですが、ここも無駄にはしたくないですよね。この“非構造化インタビュー”は、前回投稿した“ステークホルダー分析”にも活用することができます。例えば、もしプロジェクトの中で“抵抗”勢力がいるとしたら、誰を巻き込むことでその人を説得することができるか、を聞くのも有効です。あくまでオフレコ(議事録には書かない)ですが。。
私個人の経験で、以前ある問題解決プロジェクトをしていた際に、当事者(部門長レベル)同士で直接話してもらったことがあるのですが、えらい大ゲンカになってしまって困ったことがありました。後で他の関係者に聞いてみると2人は昔上司・部下の関係で当時から犬猿の仲だったんだそうです。そんな事も事前に把握していればやりようがあったのですが。。こんな感じで社内の人間模様を把握しておくのは大事だと思います。
3. ”事前準備”から“インタビュー後”までのやるべきタスク
最後に、インタビュー前後のタスクをまとめておきたいと思います。
1. 事前準備:
1-a 質問リスト作成
・“構造化インタビュー”の場合 -> 既存業務プロセス・プロセスタイム入手(もしあれば)。なければ業務プロセス(仮説)を準備
・“非構造化インタビュー”の場合 -> インタビュー・ツリーの準備
1-b 質問リストをインタビューイーに事前送付
・“構造化インタビュー”の場合 -> 質問リストをそのまま送付
・“非構造化インタビュー”の場合 -> アジェンダを送付(インタビュー・ツリーは共有しないこと)
2. インタビュー中:
2-a ヒアリングしつつ議事録作成
・“構造化インタビュー”の場合 -> 質問リストを投影しながら(フェーストゥフェースのインタビューならプロジェクタで、オンラインインタビューなら画面シェアで)その場で入力し、その場でインタビューイーに確認をとっていく
・“非構造化インタビュー”の場合 -> メールなりワード(等のドキュメント作成ツール)にアジェンダを表示しながら、聞いた内容なその場で入力し、その場でインタビューイーに確認をとっていく(“ここはオフレコね”と言われたら書かないこと)
2-b 最後に議事録内容を確認して、インタビューイーに送付。スピーディでいいですよね。
3. インタビュー後:
3-a お礼メール送信 -> 早いタイミングで(遅くとも翌日午前中までに)送信しておく。インタビューは“仲間づくり”でもあります。インタビューイーに気持ちよく思ってもらいたいですよね。
3-b もしインタビュー中に“TO DO”が出てきたら、必ず対応し、結果を連絡
大体こんな感じかと思います。
今回はこのくらいにさせていただき、また次回以降、続けていきたいと思います。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。