”一次調査(顧客調査)“の調査設計

皆さまこんにちは。前回は問題解決にあたっては、まず”ファクト(事実)収集”が必要であり、ファクト収集には大きく“外部調査”と“内部調査”があるということを書きました。そして外部調査には“二次調査(公開情報収集)”と“一次調査(独自調査)”があるのでしたね。今回は一次調査をする際の調査の企画(調査設計と言います)について書いていきたいと思います。

一次調査をする場合には、いわゆる“顧客調査”が多いと思いますので、その前提で書きます。顧客調査の調査設計は、“①調査目的”⇒“②対象顧客セグメント”⇒“③分析手法”⇒“④サンプル数”といった項目を決める必要があります。

1. “調査目的”を明確にする

ただ何となく“顧客調査するから、何を聞きたいか考えよう”と質問項目の羅列に入ってしまうのはNGです。それでも回答結果データは出てくると思いますが、そのデータをどう活用すればよいかわからなくなり、結果報告会だけしてそのままお蔵入り、となりがちですよね。そうならないように、調査設計の段階で“何のために調査をするのか”を明確にしましょう。

調査目的の例としては、最近の流行りでは“CX(カスタマーエクスペリエンス)の改善”とか、以前からよくあるのが“顧客満足度の測定”、“NPS(ネットプロモータースコア)の測定”、あるいは“商品やサービス開発における顧客ニーズ調査”といった辺りがあります。他にも色々あると思います。

2. “対象顧客セグメント”を定義する

顧客セグメンテーションは、これはこれで深い分野ですが(なので、ここでは深堀しません)、大きく分けると“デモグラフィック・セグメンテーション(例:年齢、性別、居住地域、等の属性で分ける)”と“サイコグラフィック・セグメンテーション(例:”流行消費派“、”倹約派“、”保守派“等の心理的属性で分ける)”の2つがあると思います。

実際に定義する際には、BtoCの場合、リサーチパネルを持っている調査会社に相談することが多いと思いますが、パネルの中で“取りやすい/取りにくい”属性があるので、現実的に取れる形のセグメンテーションにする必要があります。その意味でも、基本はデモグラフィックになるかと思います。

BtoBの場合、調査会社のリサーチパネルではうまく取れない場合が多いと思います。自社で既に顧客調査を実施していればそれを活用できますが、そうでない場合はマーケティングもしくは営業部門を連携して、顧客調査を企画する必要があると思います。

3. “分析手法”を検討する

“1. 調査目的”と関係しますが、調査設計の段階で“分析手法”を検討しておく必要があります。使う手法に応じて、実際の調査票(アンケートの質問項目)が変わってくるからです。ここで調査目的に応じた、よくある分析手法をまとめておきます。

顧客調査でよくある分析手法

他にも色々な分析手法が世の中にはありますが、上記は私が比較的使えると思っているものになりますので、次回以降、順番に書いてみたいと思います。

4. サンプル数を決める

顧客調査をする時、サンプル数はどれくらいが適切なのか?という疑問を持たれることは結構あるのではないか、と思います。

実は世の中にはサンプル数を算出するための一般的な式があります。興味がある方は“サンプル数 計算”等のキーワードでググってみてください。本当にたくさんのページが出てくるので、ここでは1つだけリンクを貼らせていただきます(Freeasy様記事)。このサンプル数算出式のポイントは“信頼度”と“誤差”という2つのパラメータを何%に設定するかによって必要サンプル数が変わるということです。“信頼度”と“誤差”の定義については、これもググってみるとたくさんのページがあるので、1つだけリンクを貼らせていただきます(トリム様記事)。世の中では信頼度=95%、誤差=5%とするのが一般的です。

で、この信頼度=95%、誤差=5%の場合、必要サンプル数は(母集団の規模にもよりますが)概ね400人になります。この400人という数字は覚えておくと便利ですね。実務的なことを言うと、1回の調査の中で複数セグメントを分析することが多いと思います(例:20代男性・20代女性・30-40代男性・30-40代女性・・・等)。この時に、サンプル総数を400人とした場合、4セグメントであれば各セグメント100人ずつでまぁまぁだと思いますが、仮に8セグメントとなると各セグメント50人ずつになってしまい、調査結果としてやや不十分です。ちなみに大手新聞社の世論調査等(母集団は日本国民全体)ですと、大体サンプル数1,500人~2,000人くらいの規模の調査が多いように思います。

統計的には最低20人とか30人とか諸説ありますが、経験的には各セグメント100サンプルはあった方がよいと思います。これは例えば、サンプルデータの中で欠損値(空欄)があった場合、そのサンプルを削除してしまうと、分析結果が結構大きく変わってしまったりします。サンプル数が大きくなると、多少サンプルを削ったりしても大きくブレずに安定してくるためです。

あとは予算との兼ね合いですね(笑)。サンプル数が大きくなればなるほど、調査会社の費用も上がりますので。

今回はこのくらいにさせていただき、また次回以降、続けていきたいと思います。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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