皆さまこんにちは。前回は“to-be(あるべき姿構想)”の中で、アイディア出しの定番である“ブレーンストーミング(ブレスト)”について、特に新規事業・新商品・新サービス等のアイディア出しについて書きました。
今回から“to-be(あるべき姿構想)”も終盤に入ります。リーンシックスシグマで言うと、DMAICの一番最後の“Control(維持、管理)”の辺りです。
1. “Control(維持、管理)”とは?
前回までの“Improve(改善)”で、ファシリテーションテクニックを駆使しつつ、ブレストをしながら、様々な問題解決策が出てきたと思います。で、“Control(維持、管理)”は、それらの問題解決策を実際に実行していく段階になります。
リーンシックスシグマの一番最後であるため、説明資料等でも一番最後でパラパラっとしか書いてなかったり、研修でも最後時間切れでサラッと流されてしまいがちなパートですが(笑)、個人的には問題解決で一番大事なパートだと考えています。
“Control(維持、管理)”は、ワークショップ後、問題解決策を実際に実行しながら、その進捗管理をしていく段階です。これも以前の投稿で、“問題解決者は三変化しないといけない”と書きましたが、ここから皆さまは“プロジェクトマネージャー”にならないといけません(笑)。
“Control(維持、管理)“を進めるために、2つほど決めておく必要があります。それが”RACI(レイシー)“と”KPI“です。順番に書いていきたいと思います。
2. まず問題解決策実行の役割分担 – RACI(レイシー)
また訳の分からない略語が出てきましたが(笑)、”RACI“と書いて”レイシー“と読みます。”ラーシー“と言う人もたまにいますが、どちらでもよいと思います。で、何の略かと言いますと、下記の頭文字をとったものです。
Responsible:実行者
Accountable:責任者
Consulted:相談先
Informed:報告先
要は問題解決策を実行する“役割分担表”を決めておきましょう、ということです。ここでRACIのイメージ図を載せておきます。単純な表です。
“Responsible”は日本人の感覚的には“責任者”に聞こえてしまいがちですが、RACIの中では“実行に責任を負う人”=”実際に実行する人“という位置づけです。現場レベルのメンバーが当たる場合が多いと思います。
そして日本人にはピンときづらいのですが”Accountable“、これが”責任者“です。当該部門の部門長、マネージャーといった人がなる場合が多いと思います。
“Consulted“は”コンサルタント“です(笑)。その問題解決策を実行するにあたって、何か専門知識を要する場合の相談先です(例:法務チェックが必要な場合には法務部、等)。
最後の“Informed”は報告先です。大きめのプロジェクトですと“ステアリングコミッティ(ステコミ)”等があってそこに報告しなければならなかったりしますが、その場合はステコミが“I”になりますよね。
RACIを作る際の注意点を幾つか書いておきます。
a) 問題解決策ごとに“Responsible”と“Accountable”は必須です。必ず明確化します。
b) “Consulted”と”Informed”は任意です。必要に応じて設定します。
c) “Accountable“は必ず1人にしましょう。責任が分散するのはロクなことがないので。他の役割は複数人もアリです。
d) 表の中には役職名(例:〇〇部、等)で書くべきか、個人名を書くべきかという議論がありますが、プロジェクト内で明確であればどちらでもよいと思います。ただ個人名にした場合には、必ずアップデートをお忘れなく(アサインが変わった時に)!
で、RACIは作りっぱなしにせず、プロジェクトルーム内とか目につく所に貼っておきましょう(オンラインの場合は共有しておきましょう)!
3. 問題解決策はうまくいったのか? – KPIを設定する
また略語ですが(笑)、”KPI”は皆さまよくご存じですよね?はい、”Key Performance Indicator”です。よくご存じと思いますので、ここで細々書きませんが、KPIは色々なレベルで設定可能です。
ここの“Control(維持、管理)”段階で設定するKPIは、問題解決策1つ1つについてです。例えば問題解決策が“ターゲットセグメントに対する、営業による顧客フォロー強化”であれば、KPIは“ターゲットセグメントの顧客訪問回数”等となったりすると思います。こんな感じで問題解決策ごとにKPIを決めます。
KPIを設定する際の注意点を幾つか書いておきます。
a) “SMART”に設定する。これも有名ですよね?はい、“Specific(明確化)”、“Measurable(測定可能=定量化)”、“Achievable(達成可能=現実的に、でもちょっとストレッチ!)”、“Relevant(関連性が高い)”、“Timebound(時間軸を設定)”の略です。“Relevant”がちょっと分かりづらいかもしれませんが、例えばプロジェクトのKPIに”会社の売上“を置くのは関連性が低いということになると思います。関連はしている(べき)とは思いますが。
b) データが取得しやすい指標にする。定期的に数字を見て、進捗度合いを見ることになるので、データ取得が不可、ないし出来ても取るのが大変、といった状態ですと使い物にならないと思います。
c) Metrics(メトリクス=目標値)を設定する。KPIは“指標”ですが、項目だけではなく、必ず目標値(数値目標)も設定しておきましょう。
この後は、ワークショップで作成したアクションプランに基づいて進捗管理に入っていきます。これは次回以降に書きます。
今回はこのくらいにさせていただき、また次回以降、続けていきたいと思います。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。